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『鍵』2011-10-03 Mon 20:35
あの鍵はもうどこかへやってしまったか。
あのころ、あの鍵を大切にしていた。 手のひらの中央に慎み深く収まるくらいの、 小さな銀色の鍵。 私はいつもそれを肌身離さず持っていた。 私の持ちもののなかで、 何よりも大切にしていたかもしれない。 寝る時もすぐそばにあったし、 入浴のときは、細いチェーンに通して、 首にかけていた。 可愛らしい鍵だった。 どんなところへも、 一緒に持って行った。 その鍵と、たくさんの時間をともに過ごし、 たくさんの景色を一緒に見たと思う。 錠と一緒になるとき、 悦びに震える様に かちりと 綺麗な音を立てた。 その鍵を持つのは とても誇らしいことだったし、 ずっと、大切にしていくと思っていた。 今でも、 あの金属の冷たい感触、 繊細な輪郭、 ありありと想い浮かべることができる。 その鍵に触れる時、 愛しさ、悦び、いろいろな温かい感情を持つことが出来た。 もう二度とあんな鍵を持つことはないのかもしれない。 鍵・・・。 あの頃の、 私をご主人様と呼んでいた女の細く白い首に懸けた、 環に懸る錠の。 ブログランキングに参加してみました。 応援よろしくお願いします。 ↓クリック |