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逢瀬日記

ご主人様との出会いから今迄。 後天性被虐趣味なわたしの手記。

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『先生とわたし』

先生が、私の先を歩きます。
私ははぐれないように、その後を追います。

先生は、私のぶんの切符を手渡して、
改札をくぐります。

ホームについて、
まもなく車両はプラットホームに停止し、
人がたくさん吐き出され、
また、人をたくさん吸い込みます。

先生は、特になにかを私に話しかけることなく、
遠く流れていくビルの群れや、
不意に現れる綺麗な空の模様を車窓から眺めています。
ぎゅうぎゅう詰めの車内で、
必然的に私は先生に密着することになって、
その質のいいスーツに素肌が掠るたび、
どきどきしてしまいます。
それを、なんとも思っていなさそうに
している先生を見ると、
胸の奥をぎゅっと掴まれたみたいな感じになります。
電車の揺れに乗じて、
もっとひっついてみようかとも画策しますが、
そう言う思いもまるきり見透かされそうなので、
私はただ、黙って同じ風景を眺めようと努めます。

あっという間に駅について、
さっき見たのと同じように、
電車から吐き出されるようにして、
ホームへ出ていきます。

落日を迎え、
幻想的に色を変えゆく空。

先生がいつも見ている風景。
それをこんなふうに先生とともに見ている私。
冬を間近に控える風に、
静かに身体を冷やします。
もうすぐ、先生の部屋に着くみたいです。
こうして、先生の私的な領域に招いていただくのは
初めてのことです。
このときが、ありふれた時間ではないことを、
身体で感じます。
一瞬の、空の色さえも、特別で・・・。

部屋に着いて、
私は頬を赤らめながら先生にお願いしました。

「わたしのぱんつをかえしてください。」















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