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逢瀬日記

ご主人様との出会いから今迄。 後天性被虐趣味なわたしの手記。

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逢瀬日記34(2) 犬

ご主人様とすこし距離をとって歩くせいか、
欲と暇を持て余す男性に声をかけられる。
節目がちに、首を振って断り、足を速める。
頭を下げて、ご主人様を見失わないように駆け足で進む。

ご主人様に差し出せる飲み物を持ち合わせていなかったので、
そばにある自動販売機に立ち寄ると、
たちまち、
その姿を見失ってしまいました。
どうしよう・・・、
そう、思い悩んだ頃、
宵闇が深まる道のさきに、
ご主人様を見つけました。
もう一度、
離れないよう、ついて歩きます。

ご主人様は、
よく選ぶルートを外れて、
飲食店へと入られました。
あとにつづきます。
壁にしつらえたモニターに、
異境の綺麗な海が映り、
ゆったりとした唄声がながれる、
落ち着いたお店。

席について、
ご主人様は、ひとこと、
「いっぱい泣いた?」と、
優しい表情で尋ねられました。

先日の、メールでのやりとりが思い出されて、
私は、また、泣きそうになってしまいました。

私が俯いているあいだ、
ご主人様は、メニューに目をおとし、
アルコールを二人分と、
いくつかの料理を注文してくださいました。

すこしして、
テーブルにお皿が並んでいきます。

私は、ご主人様をまっすぐ見つめると、
泣きそうになるので、
壁の、綺麗な海を映すモニタを
じっと見つめていました。
ご主人様の好む海の風景。
ご主人様の愛する地。


ご主人様と、こんなふうに
テーブルを囲むのは、グラスを触れあわせるのは、
幾度目のことでしょう。
香気を放つ、アルコールで唇を湿らせます。
唇に触れ、唇を濡らす透明なアルコールは、
高まる緊張をゆるやかに、甘やかしてくれます。
ご主人様の選んだお料理は、
思っていたよりもずっとおいしくて、
「おいしいです」と、にこにこしてしまいました。
ご主人様の小皿に、お料理を取り分けるのも、
ふだんにはないご奉仕だったので、
新鮮に思いました。うれしいことのひとつ。

はじめて口にするメニューを、
ひとつひとつ解説してくださいます。

ご主人様と共にする食事は、
普段のそれとは違います。
ひとくち、ひとくちに注意を払って、
“ご主人様とご一緒にお食事していること”に
意識が集中します。
密度を高めて、気持ちを集中させて、
「ご主人様と私の時間」の完成度を高めることを望みます。
純度を高く、まっすぐご主人様の言葉を聴いて
主のいる空気を嗅いで、
主のかたちを焼き付けるように視る・・・。
五感を主のために総て。

お皿が綺麗になる頃、
「行くか、」と、席を立つのを見つめます。
過ぎていく時間を見つめます。
それから続けて私も席を立ちます。
まだ私に残されている夜の続きを確かめに。








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