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逢瀬日記

ご主人様との出会いから今迄。 後天性被虐趣味なわたしの手記。

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『名前』

君に名前をあげる。
本当の名前を。

誰にも言ってはいけないよ。
僕と君だけの秘密だ。
もう一度言うけれど、
誰にも言ってはいけないよ。
言葉にした途端、
大切なものが
失われてしまうから。

だから
この名前は
君と僕にしか
口にできないのさ。

君はそれをきっと大切にするだろう。
なぜなら君は
ずっとその、
見知らぬ君を求めていたのだから。
なぜならそれは、
君しか知りえない宝物だから。

君が思い描いても、
言葉にできなかった君が
手に入るよ。

君が伝えたくても
伝えられなかった君が
そこにいるよ。




私はそのことがとても嬉しくて
とても、とても、嬉しくて、
ついつい、
親しい人に
口にしようとしてしまったのです。
その途端、
私の口は、
言葉を失いました。

唇からは何も、
言葉が零れなくなってしまいました。

苦しくて、
悲しくて、
どうしようもない日々がつづきました。

愛しいひととは逢うことも無く
気持ちを解ってくださる人も無く

心の中で
何度も
愛しい名前を
そして
私の名前を
くりかえし
くりかえし
呼び続けました。

本を読み、
映画を見て、
音楽を聴いて、
そのたびに、貴方のことを想いました。

貴方に逢える日が
やっとのことで
訪れた時
やはり
私の喉は
声を失ったままでした。

私は
涙の溢れる目で
貴方を見つめて
貴方の名前を
私の名前を
音にのせることなく
何度も
何度も
発しようとしました。

貴方は
冷たく笑って
私の口を
貴方の唇でそっと塞ぎました。

永遠とも思えるような
口づけが終わっても
やはり私は
何も言葉がでない儘でした。

貴方は私を抱きしめました。
満足げな表情で
抱きしめていました。
いつまでも、
いつまでも・・・










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