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逢瀬日記

ご主人様との出会いから今迄。 後天性被虐趣味なわたしの手記。

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例の本について

「肝心なのは、心の声に従うことだ」



まだ読みかけなのですが、
感じるものが多くエントリに加えます。

サディストやマゾヒスト、
ドミナント(支配者)やサブミッシブ(従属者)、
あるいはフェティシズムなど、
当事者が故意に被害者をつくらない関係における、
性的嗜好や偏執を、
トラウマやPTSDを用いて
解釈しようという考え方を
私は好みません。

幼少期のことが性的傾倒を形成する起源となったかたもいるでしょうし、
また、そうでないかたもいるでしょう。

病的心理を引き合いに出すことは、
ヘテロ性愛「ごくノーマル」なセック/ス
“こどもをつくるための?”セック/スだけが
正常だと言外に伝えているように感じられるからです。
無性愛や、稀性愛、同性愛、異性愛、バイ
染色体レベルでの話や、
生育歴においての嗜好の変化、
それぞれにいろいろあることでしょう。
まっすぐな線は存在しないエリアです。

私はご主人様と出会ったのち、
SMに関連する書籍など、
好んでよく読むようになりました。
ファンタジーであっても、
関係性はいろいろなところに生じ
多様性を鮮やかに感じさせるので
興味があるからです。

そういった書籍で、
性癖の背景に(概ねヘテロ性愛意外は“倒錯”と称するものも多い)、
当事者の病理を匂わせる描写があるものも多いです。
それには大変興醒めします。
手にしたこの一冊もそうでした。

本の名前は、
『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』。

SM世界の観光本だと思って手に取りました。
サタミシュウさんの著作なども、
「そこに存在する当事者間での」本質的なところ、
関係の在り方を
取り出す試みをしているけれど
そこを特に読もうとする読者は少ないのではないでしょうか。
多くの読者に受け入れられるために、
概ね観光本にならざるを得ないと思っていました。
やはりプレイの刺激、センシュアルなところが
作品を引き立たせます。

主・従や、S/Mの嗜好は、
ずっと昔に比べポピュラーになったとはいえ、
その本質を、それぞれがそれぞれの関係において、
それぞれのやりかたで追求しようと、構築しようと、
現実世界で試みるカップルは、
そんなには多くないのではないかと思います。
(準備や手間、リスク、継続への努力、
そういうものへ対する想像でそう思います。
具体的根拠はありませんが・・・)
(さらにさらに、ポピュラーになることが
とりたてていいこととも思いませんが)
また、そのような当事者が、
「自分のテーマだと感じた」作品を手に取る確率は、
さらに小さくなると思います。
そういう意味で、
「マイノリティ」に向けた狭いマーケットではなく、
マジョリティをターゲットにするときには
「わかりやすい」「うけいれられやすい」「ためしやすい」
ものを切り取って作品にすることが多いのだと思います。
そういう意味での「観光本」です。
はじめて旅した土地の裏路地のさらに地下にあるような
怪しげなお店に一見で入ることはまず無いように、
観光ブックには載らないような・・・
「そこ」へ行きたいと望む人には、
「それ自体が」案内を寄越すか、
自ずとその方向へと歩んでいるものだと思います。


話を戻します、

この本は、夫と二人の息子を持つイギリス在住の女性の著作です。
まるでハーレクインロマンスのような、
美男美女の運命的な出会い、
(しかもお相手は超弩級の資産家!)
深い愛の芽生え、
官能の目覚め、
そういった描写を織り交ぜつつ、
グレイ氏とアナスタシアの
秘密の契約について言及していきます。
アナスタシアが最上のラブロマンスの相手だと思っていた彼は
実は・・・というような流れです。

そのふたりの甘やかなところや、
やりとりはまあ、
「創作」らしさたっぷりとして、
上記の「興醒め」な設定があるにせよ、
グレイ氏に関することがらのうち、
やたら偏執の在りようが精緻で、
生々しく、ディティルが素晴らしい。と、妙に感動しました。

彼の知性、行動力、決断力、多大なるもちもの(美貌やスタイルや資産や性的な強さやその他)
に、彼女は惹かれていくわけですが、
その在り方を印象づける描写は素晴らしいし、
温厚さがサディスティックに揺らぐ瞬間の捉え方のよさ。
「この作品」というより、
グレイ氏にまつわるもの、
その心中にあるものに
とても関心を寄せました。
グレイ氏という「ドミナント」を、
もしくはそのモデルたる誰かを、
「よく知っている」のではないかと思える程に。
同じような要素を持つ
サディスト/ドミナントが存在するように思われて。

映画化するらしいので、
観てみたい・・・と思います。
続編も出るらしいので、
読んでみたい・・・と思います。
もし、ご一読された方には、感想をお聞きしてみたいです。
ちょっと偉そうな読書感想文になってしまいましたが、
「恐ろしい本」ということでおゆるしください。
読む度に印象が変わりそうな感じです。








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