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逢瀬日記

ご主人様との出会いから今迄。 後天性被虐趣味なわたしの手記。

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『ピアス(B)』

ご主人様が、私に、ピアスすると命じられました。
突然のご命令に、私は、本当に戸惑いました。
動揺しました。

深夜のカラオケBOXで、
ご主人様は、ピアッサーを取りだされました。

古風だと思われるかもしれませんが、
私は、両親から貰った身体に、
こうして手を加えることに関して、
多少の罪悪感を持っていました。
けれど、ご主人様のこと、
そのご命令に背くまでの想いは、とうてい至りませんでした。

ご主人様へ、向き直り、耳を差し出します。
ご主人様は、躊躇いなく、手にした器具で、
がちゃんと、私の耳の肉を穿ちました。
痛みが、貫くように走り、
私の身体の芯を突き抜けました。
「あぁっ」、と、声が漏れてしまいました。
その痛みが、余りにも、破瓜に似ていたので。

ご主人様は、私に、ご主人様の与える以外のピアスの装着を
禁じられました。

それは、私にとって、甘美に思えることでもありました。

耳たぶは、鏡を通してしか、私には見えず、
触れれば、そこにあり、
それがどうしようもなく、
ご主人様に支配されている自分の存在を意識せざるを得ませんでした。

ご主人様はいろいろなピアスを私に与えてくださいました。
深い群青色の丸い、ラピスラズリの嵌ったピアス、
薄い水色が光をきらきらと反射するアクアマリンの、
しずく型にカットされた粒が揺れるピアス、
金色のチェーンが、肩まで届きそうな、大人っぽいピアス。

そのどれもが、ご主人様の理想の女性像を表しているようで、
私はそうなりたいと想いつつ、
大切にしていました。

ご主人様がなぜ、そのようにされたのかは判りませんが、
ご主人様の残した跡は、私にとって特別で、
いつも何気なく、耳に手をやってしまいます。

時折、消毒のためにピアスを外し、再び装着する時、
私のやわらかな耳の肉を貫く、ピアスの棒状の部分が、
ご主人様の勃起したそのものに感じることさえあります。

私の穴を貫いて、違和感なく埋まってしまうのです。

そして、わずかな耳の穴、ピアスのキャッチャーは、
私自身となります。
私の穴を貫いたピアスを、私自身で受け止め、
そこに留めます。
それは、
終わらない性行為のようで、
私は永遠にご主人様に貫かれた儘なのです。
指先で触れるたびに、
私を囚われの絶頂から、決して逃してはくれないのです。








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『舌と果実』

「じゃあ、次。
これは何か解る?」

そう云って貴方は、
硬質で重みのある、
純銀製のフォークで貫いた果実を
私の唇へと運びます。

黒いシルクのタイで目隠しをされて
椅子に行儀よく掛けている私は、
その果汁で口腔を滴らすように濡らされ、
その香気の正体を察しようとします。

ほの紅くルージュで染めた唇は、
果実の蜜で、
グロスをのせたように、
麗しく光っているに違いありませんでした。

洋館の一室。
そこにいるのは貴方と私だけでした。
時刻は定かではありません。
夕刻と宵の境目辺りでしょうか。
厚いカーテンの隙間から、
どす黒い雲に覆われた空のあいまに、
控えめな光が差し込んでいたかもしれません。
部屋に置かれた燭台の
とろけはじめた蝋燭の灯で、
ほの明るく、私は照らされていた筈でした。

木製の、クラシカルな造りの、
飾り気のない椅子と重ね合わさるる様に、
椅子の背もたれの部分をも含めて、
ロープで上体を縛られて、固定されている私は、
舌の触感のみを頼りにせざるをえませんでした。
身体は、椅子の背板を挟み込むように固定されていて、
両手は後ろ手に、器用に束ねられているのでした。
椅子に抱かれているようでした。

自由を赦された器官は、舌だけでした。

舐めまわし、啜り、吸い、ついばむように、
それを捕えるよう努めました。

深い臙脂色に飾りの白いレェスが印象的な、
パフスリーブになっている
ビロウドのワンピース、
くるぶし丈の白いレェスのソックスと、
ワンピースに合わせた、深い臙脂色、
―こちらはつやりと光るエナメル質の―
踵の高い靴。
それらを着用していた私は、
着衣しているというのに、
裸・・・、
まるで裸にされているみたいで、
これ以上なく、無防備に、
私のすべてが晒されている心持ちになりました。
装ったこの身体も、私の意思では動かないのです。

か細い繊維の感触、つるりとした形、
じゅぷ、と、噛んだときに沁み出る汁、
その感覚のみに集中しました。

「葡萄」

私の舌は正しく答えを導きました。

「正解」
すぐそばで、貴方の声を感じたと同時に、
貴方の唇が、私のそれに触れました。
瞬間、するりと唇を割って入ってきた貴方の舌は、
驚くほどなめらかで、
いままで口にしたどんな果実よりも
魅力的に感じました。
もっと、あじわってみたい、
そう感じる間もなく、
貴方の舌は私の舌のもとを去りました。

「じゃあ、次」
貴方はおもむろに、私のつんと尖った鼻を摘まみ上げ、
舌の上にぷるりとした感触のものを与えました。

「香りが解らないと、感覚は急に脆くなるだろう?」
その言葉の通り、嗅覚を取り上げられた私は、
その冷たく、ぷにぷにしたものの正体を
得られずにいました。
貴方はおっしゃいます。

「茘枝」

名前を与えられた途端、
茘枝は茘枝としての輪郭を持ちました。
舌は喜々として瑞々しい肌を吸いました。

「茘枝は、亀頭の形に酷似しているね」
貴方は冗談めかしてそう云いました。
その弾力、質感はますます、貴方のそれを想起させました。
私の舌は夢中で、貴方の亀頭にむしゃぶりつきました。
部屋には茘枝の魅惑的な香気が漂っていました。











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『放課後の蝶』

あの頃、放課後の校舎は、僕たちの遊び場だった。

僕たちのあいだで流行っていたのは、
かくれんぼと鬼ごっこを足したようなゲームだった。
隠れているのが、見つかっても、
走って逃げるのに追いつかれなければ、
鬼にされるのを回避することが出来た。
見つかって捕まると、鬼になり、
全員が鬼になったところでゲーム終了だった。

勿論、校舎を走ったり、そんな風にふざけているのを、
先生や、用務員や、上級生に見られたら、
咎められるのはわかりきっていたから、
いつも、日と場所を慎重に選んで、僕らは遊んだ。
そういう秘密で行われる遊びだったから、
密告しない仲間を慎重に選んで興じていた。
結構、知能的だったのだ。

その日は、定例の職員会議があって、
「早く帰るように」と、先生たちは促して、
足早に会議室へ向かっていた。
僕たちは、今日だねと、示し合わせて、
立ち入り禁止の旧校舎へ入った。
まだ空は明るく、校舎内は照明が灯っていなくても、
充分に見渡すことが出来た。
床の木目のひとつひとつまではっきりと見えた。
男の子が4~5人と、女の子が3~4人混じっていたように思う。

じゃんけんで鬼を決めたのだけれど、
不運なことに、僕が鬼になってしまった。
30秒、数え終えると、僕はあても無く、
校舎を見回り始めた。
結構、足は速いほうだったので、
見つけてしまいさえすれば、
面白いように鬼を増やしていくことが出来た。

逃げるほうからすれば、
終盤になればなるほど、
誰が鬼かそうでないかが解らなくなり、
そのスリルを僕たちは、たまらなく気に入っていた。

鬼が数人に増えた頃、
たまたま入った
埃っぽい図書館の本棚の合い間に、
女の子のスカートの裾が揺れるのが見えた。
よし。
息をころして、忍び寄る。

入り口に近い方からそっと近づいて、
部屋の片隅に追いやって捕まえる作戦だ。
褪色した臙脂色の絨毯に、
音がしないよう慎重に足を置く。
本棚の本と本の隙間から、向こう側を窺う。
女の子は、ひとりきりでそこにいた。
確か、今日誘われて、はじめて遊びに参加した子だった。

「見つけた」
僕の声が静寂を裂いた。

女の子は肩をびくっと震わせ、
僕のほうへ振りかえった。
その顔は、すごく怯えていて、
今にも泣きそうな位だった。
「あっ」
女の子は、それだけ発して、
その場に座り込んでしまった。
その様子は、僕のことを心底おそれているような、
可哀想に思えるほどの緊張だった。

僕は、なぜかわからないけれど、
すごく自分が興奮していると感じた。
そして、いつも見知っている筈の女の子が
全く別人のように見えた。

はやく捕まえたいと思う一方で、
ずっとこのまま、その子の怯える様子を見続けたいとも思った。
その髪に触れてみたいと思った。
そんなことは、今迄思ってもみなかったけれど、
その手を、その足首を掴みたいと思った。
触れたい。でも、触れればすべてが終わってしまうと、
この状況をもう少しあじわっていたいと、
ぼんやりと考えた。

一歩、ゆっくりと、女の子に向かって進んだ。
「ひっ」、
と、女の子は息を苦しそうに吸いこんで、
お尻を床につけたまま、
半歩後ずさるようにした。

その様子も、何か僕の奥の方にあるものを強い力で揺り動かした。
血が熱くたぎるような、
じゅっと、熱い鉄板に触ってしまったような、
痺れるような・・・何か。
目を離せなかった。
表情や、あの「あっ」、「ひっ」と漏らした声、
くの字に窮屈そうに折り曲げたスカートから覗く足。
こちらを見上げる瞳の奥の妖しいきらめき。

僕はそっと手を伸ばした。

座り込んでいるその子の、髪に触れそうで触れない、
ごくわずか、微妙な空間を赦して。

手を伸ばした僕をみつめる女の子もまた、目を離さなかった。
その瞳に浮かぶ感情は、
受容なのか、許容なのか、諦めなのか、怯えなのか、
不思議なマーブル模様のように思えた。
このままずっと見つめていたいと思った。

僕は迷った末、女の子の髪にそっと触れた。
花弁にとまって翅をすっと閉じた蝶を
指で捕まえるときのように、
そっと・・・。

突然、悲鳴と、騒がしい笑い声と、
ばたばたとせわしい足音が廊下から聞こえて、
僕が後ろを振り返った隙をみて、
女の子は再び、別の花を探す蝶のように
僕のそばを軽やかに走ってすり抜けて行った。
ひとりぼっちの図書室で、
僕の指先には、繊細でさらりとした
髪の感触だけが残っていた。

空は燃える様なオレンジから薄い紫にかわりつつあり、
聴き慣れた下校の音楽が周囲を包んでいた。

確か、その女の子は、
両親の都合でほどなく転校していったように思う。
今では顔の特徴や、どんな会話をかわしたかは
全くといっていいくらい思いだせないけれど、
時折、あの瞳のなかの妖しい光だけが思い返される。
特に今日のような、空の色の日には。

え?どうしてこんな話をしたかって?
今の君の瞳の色を見ているとね、
今でもあのときの感情が僕と共にあるような気がしてね。

もう、名前も忘れてしまったけれど、
あの女の子は、いま、どうしているのだろうか。








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『柔らかな鍵盤』

ピアノの音色はいつも私の心の奥を癒した。

日の暮れた音楽室で、
私は自分の好むメロディーをくり返した。
ソナタ、メヌエット、ワルツ・・・。
長調の華やかさよりも、
短調の切なさ、薄暗さが、私を魅了していた。

今の時間、もう生徒はいない。
産休の常任の教員のかわりに、
短期の講師として契約している私にとって、
こうして、自宅以外のピアノを思う存分弾けるというのも、
とても良い条件だった。
年季の入ったグランドピアノは、
いつも懐の深い、儚げで優美な声を聴かせてくれた。
もう今ではつくられなくなった、
象牙でできた、少し黄ばんだ鍵盤も、
私のひらひら舞う指を、優しく受け止めてくれた。
ハープのようにか細く美しい声も、
バスドラムのように野太く咆哮する声も、
あらゆる声域をもって、
いつも私の好きな声を聞かせてくれた。
そのたび、生命ある楽器なのだと感じた。

その日、私の指は、
ショパンのワルツ、第10番、69-2の旋律を好んでいた。
充分に悲嘆的な感傷に浸ることが出来た。
ひとりきりの室内に、
とろけそうな音符の行列が、甘美に響いていた。

ばたん、と、ドアが開いた。
私は、指と鍵盤の逢瀬を止められないまま、
目だけをそちらに向けた。

立っていたのは、いつも、興味なさげに
一番後ろの右から2番目の席で授業に出ている生徒だった。
ペーパーの成績だけはいい、
規則は忠実に守るような、
大人しそうな生徒だった。
なにものにも興味はないといった、
冷めた表情が映える端正な顔立ちで、
どこか気に懸ってしまう存在だった。

「はやく帰りなさい」
私は、目を楽譜に戻し、端的に伝えた。

「先生」
「なに?」
「先生のピアノは綺麗ですね」

「ありがとう。」

突然の告白のような賛辞に、少し私は頬を染めた。
会話は続き、旋律もまた、淀みなく続いていく。
旋律が、最も激しさを増したために、
静かにドアの締まる音はかき消された。
内鍵がそっと錠に落ちる音も・・・。

「僕は、先生がピアノを弾くところをもっと眺めていたいです。」
「でも、もう、遅いからあなたは帰りなさい。」
「僕の為にピアノを弾いてくれませんか」
「じゃあ、これを弾き終えたら帰るようにね」

それまで、距離を保って佇んでいた生徒は、
楽譜のページを左手で捲ろうとした瞬間、
私のすぐ後ろに居て、
私の右手を掴んだ。
音符は滞り、不協和音が叫ぶように響いた。

「先生のピアノが」

そう囁いて、生徒は、私を椅子から引きずりおろし、
埃っぽい絨毯の上と、黒板の下の壁に座りこませるように押し倒した。
何が起こったか把握できないまま、
犯されるかもしれないという予感が私を不安にさせた。
「あなた、こんなことしてどうなるか―」
語気を荒げて続けようとする私の唇に彼はガムテープを貼り付けた。
続けて、手首どうしをテープでぐるぐる巻きにした。
「あなたを傷つけることは何もしない」
「んーっ、んん」
「他言しない」
「んん!んーっ」
「一度きりのことと思ってくれればいい」
呻く私に、
そう呟くように話しかけながら、
手元の鞄から取り出した麻縄で、私の足首と
太ももの付け根を器用に素早く束ねた。
「すぐ済む」
もう片方も、同じように縛りつけられ、
私は解剖されそうな蛙のように、
無様に両脚を開いた。
フレアのロングスカートをはいていたため、
私のその部分が明らかになることはなかったけれど、
それも彼の好奇心によって、
すぐ剥ぎ取られることになるだろうと予感した。
綺麗に拘束し終えると、
彼は私に向き合うように座った。

「手荒な事をして、すみません」
と、申し訳なさそうに伝え、
本当に優しく、
私がハープのタッチで鍵盤に触れるときのように、
そっと口を塞いでいたガムテープを剥がしていった。
それは、本当に私のことを傷つけることは、
ほんの少しも無いという態度を証明しているかのように思えた。
「どうしても、聴きたかったんです。先生の音色」
「ピアノなら」
私が言葉を続けようとしたとき、
彼の指は私のブラウスのボタンをひとつずつ外していき、
隠された肌を露わにした。

「やだ、こんな・・・」
私は、何をされるか、そのほとんどを理解していたというのに、
ヒステリックに叫ぶことをせず、
彼の眼をじっと見ていた。
彼がどのように、どんな行為をするのかを、
講師ではなくひとりの女として、
確かめたかったからかもしれない。

彼は、シフォン地の薄い花びらのようなベージュ色のスカートをめくり、
細いショーツのクロッチの部分を横に押しのけて、
ひとさし指で、熱い部分を掬った。
その指がしっとりと濡れていることも、
私の目に明らかだった。
透明な粘液が、夜の蛍光灯を弾いて、きらりと光っていた。
私に見せつける様に、その指を私の唇近くまで運んでから、
彼自身がぺろりと舐めた。
「先生、どうして、もう、こんなに」

羞恥に顔をそむけた。
彼は、私の唇をそうしたときのように、
手首のテープをきれいに剥いでいった。
大切なものを守るように、葡萄の皮を剥く様に、
決して私を傷つけない入念さで。

「ほら、先生。自分でここに触ってみて」

両脚を大きく開かれたままの私は、
顔を背けて小刻みに首を振りました。

「帰れなくなるよ・・・早く」
彼は、私の顎をそっと持ちあげ、
その眼で私の惑う目の奥を見つめました。

彼は、私にそれ以上触れようとしませんでした。
先程まで、私の座っていたピアノの椅子に掛け、
両脚を開いて動けずにいる私をじっと見おろしていました。

「早く」
声が先ほどよりもフォルテ懸ります。
私は、仕方なく、自分の指をそこに這わせました。
そこは、
自分でも驚くほどに潤っていて、
いつ、こんなふうになったのか、不思議に思うほどでした。
指で触れれば、触れるほど、
次から、次から、
枯れない泉のように、
ぬちゃぬちゃ、ぴちゃぴちゃと、
私を濡らしていきました。

「あっ」
ぷるんと尖った先端に触れ、
思いもよらない、ものすごい快感が私を捕えました。
その尖りは、捏ねれば捏ねるほど、
もっともっとと、快感を求めるのでした。

「良いよ。そう」
彼はじっとこちらを見ていました。

Re、Re、Re、Re、Re・・・
先程まで鍵盤を弾いていた私の指先は、
Reを気に入って、そこを執拗に弾き続けています。
「あ。あぁ。あああぁ。」
甘い息が漏れます。
強制されて、そうしている筈なのに、
もう、身体がその刺激を自ら望んでいるのは明白でした。
Re、Mi、Re、Mi、Re、Mi、Re、Mi・・・
続くトリル。
クリ/トリスの鍵盤の上で。
左手は、膣口で、快感の伴奏を始めます。
フォルテ、フォルテ、フォルテ・・・

もっと、みだらな私を見てください。
もっと、執拗に、残酷にいたぶってください。
口には出さないものの、
瞳は物欲しげに彼を探していました。
縛られた脚が、ぎしぎしとしなりました。
私は明らかに彼を求めていました。

彼の瞳は熱にたぎる様子はなく、
むしろ冷やかに私を見つめていました。
リサイタルを冷静に評価する優れた審査員のように。
私はいつのまにか、この演奏が終わらないことを願っていました。















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『月とワイン』

貴方の注いでくださるワインが私にとって一等お気に入りでした。

貴方は、よく私の肌を、
火照った肌を、
ショーツ一枚残して、
好きな形に縛りあげられました。
貴方が余りにも愉しそうに、
その暗い欲望に眼の奥を綺麗な色に染めて、
私を眺めるものなので、
私はそうされるのが当り前のように、
縄に誘われるまま、
手を、指を、
脚を、
腰を、
ときには髪さえも
貴方に差し出しました。

あっという間に綺麗に私の身体を束ね、
自由をいとも簡単に奪ってしまう貴方は、
魔法使いのようでした。
そして、いつもその魔術に甘美に酔ってしまうのです。

私は、床に転がされました。
今宵は、月が綺麗ですね。
窓から見える、細長く白い月が、
私を蔑んでいます。

私は乞うように貴方の手を求めます。
触れてほしい、
もっと、私から奪って、
すべてを奪って欲しいと、
思う儘に蹂躙してくださいと、
貴方以外には到底言えないような言葉を
平気で言ってしまいそうになるのです。

貴方はそんな私の背を踏みつけ、
床に置いたお皿に、
トクトクとワインの壜を傾けて、
深い葡萄色の液を湛えます。

身体の自由を縄に奪われ、
動けない私は、
舌を伸ばして、
この世のものとは思えないほど、
不思議に麗しい液体を
舐め上げます。
私はこうして、貴方に与えられるものをなにより愛しく思います。

ワインには、月の光が反射して、
きらきら光っていました。







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受信

私は貴方の言葉が、その振る舞いが、どうしても許せなかった。
ほんとうに、どうしても許せなかった。

その場はなんとか理性に媚びへつらって耐えた。
大人なのだからと耐えた。
けれども、やはり許せなかった。

貴方は本当に馬鹿馬鹿しく浅はかなことを言っていた。
私のことを何一つ知ろうともしないで
私のことを、私の奥底にあるものを見ようともしないで
貴方は、私のことを何も知らないで

すべての言葉を飲み込んで、
胃は、どす黒く重くなった。

貴方には判って貰えなかった、
それが現実で、
それがすべてだった。

ひとりになったとき、
思い切り吐きだした。
穢い言葉、許されない言葉、
たくさん吐きだした。

私の口からはこんなに穢いものさえも
出ていくことができるのだと感じた。
口も、ひとつの排泄器官であるということを感じた。
時が来れば忘れられるなんて
簡単にいうけど
やっぱりそう簡単なことでは済まない
過ぎ去ってぼやけていくような関係を
そんな薄っぺらい関係を
貴方と築いた覚えはない

すっかり吐き切って
胃がすっきり綺麗になった頃、
ひとつのことに思い当たった。

そう言った貴方の言葉には、
どんなに私への期待が込められていたことだろう。
貴方は私に望みを持っていたのか
そんなことを何気なく思った
私に何かを感じて
今、伝えなくてはいけないと思って
そんなふうにしたのではないだろうか

貴方はデリカシーのない人ではない
貴方の言葉には
貴方の振る舞いには何か意味があるはずだ
このことは何を私に伝えようとしているんだろう

まだそれを理解するには私は子どもすぎて
泣くことしかできないよ











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送信

君はどうしてそんなふうにしか僕の言葉を受け取ってくれないんだろう
肯定の言葉を口にしながら
歪んだ口元を僕は見てしまったよ。
瞳の淵にたたえた怒りの滴を

そんなふうに飲み込むくらいなら
そんなふうに傷つく様子を隠せないのなら
行儀のいい言葉なんてやめて、
真実の言葉で
刃のような言葉で
向かってくればいいだろう

傷つけあうことになっても構わない
そんなことで
たったそれだけのことで
失ってしまうような関係を
築いてきたつもりはない。

僕は君のためなら
どこまでも傷つくことができる。
たましいの刃で切り合って、
血塗れになってでも
君の芯に触れることができる。

君を思うと、君を目にすると、君の言葉を聞くと、
何かを思わずにいるなんてことが、もうできなくなってしまった。
君に触れて、
何かを思わずにいるなんてことは、不可能だ。
つまりそれが君は特別だということなのだろう。

わかってもらえないかもしれない。
それでも言いたいことがある。
君を傷つけるかもしれない。
それでも言いたい。
君にしか伝えないことを、
どうか聞いてほしい。
僕がそう思い実行したことを覚えていて欲しい。
勇気が要ったことだと
決意を要したことだと
いつか思い当たって欲しい。







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