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逢瀬日記

ご主人様との出会いから今迄。 後天性被虐趣味なわたしの手記。

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『舌と果実』

「じゃあ、次。
これは何か解る?」

そう云って貴方は、
硬質で重みのある、
純銀製のフォークで貫いた果実を
私の唇へと運びます。

黒いシルクのタイで目隠しをされて
椅子に行儀よく掛けている私は、
その果汁で口腔を滴らすように濡らされ、
その香気の正体を察しようとします。

ほの紅くルージュで染めた唇は、
果実の蜜で、
グロスをのせたように、
麗しく光っているに違いありませんでした。

洋館の一室。
そこにいるのは貴方と私だけでした。
時刻は定かではありません。
夕刻と宵の境目辺りでしょうか。
厚いカーテンの隙間から、
どす黒い雲に覆われた空のあいまに、
控えめな光が差し込んでいたかもしれません。
部屋に置かれた燭台の
とろけはじめた蝋燭の灯で、
ほの明るく、私は照らされていた筈でした。

木製の、クラシカルな造りの、
飾り気のない椅子と重ね合わさるる様に、
椅子の背もたれの部分をも含めて、
ロープで上体を縛られて、固定されている私は、
舌の触感のみを頼りにせざるをえませんでした。
身体は、椅子の背板を挟み込むように固定されていて、
両手は後ろ手に、器用に束ねられているのでした。
椅子に抱かれているようでした。

自由を赦された器官は、舌だけでした。

舐めまわし、啜り、吸い、ついばむように、
それを捕えるよう努めました。

深い臙脂色に飾りの白いレェスが印象的な、
パフスリーブになっている
ビロウドのワンピース、
くるぶし丈の白いレェスのソックスと、
ワンピースに合わせた、深い臙脂色、
―こちらはつやりと光るエナメル質の―
踵の高い靴。
それらを着用していた私は、
着衣しているというのに、
裸・・・、
まるで裸にされているみたいで、
これ以上なく、無防備に、
私のすべてが晒されている心持ちになりました。
装ったこの身体も、私の意思では動かないのです。

か細い繊維の感触、つるりとした形、
じゅぷ、と、噛んだときに沁み出る汁、
その感覚のみに集中しました。

「葡萄」

私の舌は正しく答えを導きました。

「正解」
すぐそばで、貴方の声を感じたと同時に、
貴方の唇が、私のそれに触れました。
瞬間、するりと唇を割って入ってきた貴方の舌は、
驚くほどなめらかで、
いままで口にしたどんな果実よりも
魅力的に感じました。
もっと、あじわってみたい、
そう感じる間もなく、
貴方の舌は私の舌のもとを去りました。

「じゃあ、次」
貴方はおもむろに、私のつんと尖った鼻を摘まみ上げ、
舌の上にぷるりとした感触のものを与えました。

「香りが解らないと、感覚は急に脆くなるだろう?」
その言葉の通り、嗅覚を取り上げられた私は、
その冷たく、ぷにぷにしたものの正体を
得られずにいました。
貴方はおっしゃいます。

「茘枝」

名前を与えられた途端、
茘枝は茘枝としての輪郭を持ちました。
舌は喜々として瑞々しい肌を吸いました。

「茘枝は、亀頭の形に酷似しているね」
貴方は冗談めかしてそう云いました。
その弾力、質感はますます、貴方のそれを想起させました。
私の舌は夢中で、貴方の亀頭にむしゃぶりつきました。
部屋には茘枝の魅惑的な香気が漂っていました。











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