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逢瀬日記

ご主人様との出会いから今迄。 後天性被虐趣味なわたしの手記。

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『柔らかな鍵盤』

ピアノの音色はいつも私の心の奥を癒した。

日の暮れた音楽室で、
私は自分の好むメロディーをくり返した。
ソナタ、メヌエット、ワルツ・・・。
長調の華やかさよりも、
短調の切なさ、薄暗さが、私を魅了していた。

今の時間、もう生徒はいない。
産休の常任の教員のかわりに、
短期の講師として契約している私にとって、
こうして、自宅以外のピアノを思う存分弾けるというのも、
とても良い条件だった。
年季の入ったグランドピアノは、
いつも懐の深い、儚げで優美な声を聴かせてくれた。
もう今ではつくられなくなった、
象牙でできた、少し黄ばんだ鍵盤も、
私のひらひら舞う指を、優しく受け止めてくれた。
ハープのようにか細く美しい声も、
バスドラムのように野太く咆哮する声も、
あらゆる声域をもって、
いつも私の好きな声を聞かせてくれた。
そのたび、生命ある楽器なのだと感じた。

その日、私の指は、
ショパンのワルツ、第10番、69-2の旋律を好んでいた。
充分に悲嘆的な感傷に浸ることが出来た。
ひとりきりの室内に、
とろけそうな音符の行列が、甘美に響いていた。

ばたん、と、ドアが開いた。
私は、指と鍵盤の逢瀬を止められないまま、
目だけをそちらに向けた。

立っていたのは、いつも、興味なさげに
一番後ろの右から2番目の席で授業に出ている生徒だった。
ペーパーの成績だけはいい、
規則は忠実に守るような、
大人しそうな生徒だった。
なにものにも興味はないといった、
冷めた表情が映える端正な顔立ちで、
どこか気に懸ってしまう存在だった。

「はやく帰りなさい」
私は、目を楽譜に戻し、端的に伝えた。

「先生」
「なに?」
「先生のピアノは綺麗ですね」

「ありがとう。」

突然の告白のような賛辞に、少し私は頬を染めた。
会話は続き、旋律もまた、淀みなく続いていく。
旋律が、最も激しさを増したために、
静かにドアの締まる音はかき消された。
内鍵がそっと錠に落ちる音も・・・。

「僕は、先生がピアノを弾くところをもっと眺めていたいです。」
「でも、もう、遅いからあなたは帰りなさい。」
「僕の為にピアノを弾いてくれませんか」
「じゃあ、これを弾き終えたら帰るようにね」

それまで、距離を保って佇んでいた生徒は、
楽譜のページを左手で捲ろうとした瞬間、
私のすぐ後ろに居て、
私の右手を掴んだ。
音符は滞り、不協和音が叫ぶように響いた。

「先生のピアノが」

そう囁いて、生徒は、私を椅子から引きずりおろし、
埃っぽい絨毯の上と、黒板の下の壁に座りこませるように押し倒した。
何が起こったか把握できないまま、
犯されるかもしれないという予感が私を不安にさせた。
「あなた、こんなことしてどうなるか―」
語気を荒げて続けようとする私の唇に彼はガムテープを貼り付けた。
続けて、手首どうしをテープでぐるぐる巻きにした。
「あなたを傷つけることは何もしない」
「んーっ、んん」
「他言しない」
「んん!んーっ」
「一度きりのことと思ってくれればいい」
呻く私に、
そう呟くように話しかけながら、
手元の鞄から取り出した麻縄で、私の足首と
太ももの付け根を器用に素早く束ねた。
「すぐ済む」
もう片方も、同じように縛りつけられ、
私は解剖されそうな蛙のように、
無様に両脚を開いた。
フレアのロングスカートをはいていたため、
私のその部分が明らかになることはなかったけれど、
それも彼の好奇心によって、
すぐ剥ぎ取られることになるだろうと予感した。
綺麗に拘束し終えると、
彼は私に向き合うように座った。

「手荒な事をして、すみません」
と、申し訳なさそうに伝え、
本当に優しく、
私がハープのタッチで鍵盤に触れるときのように、
そっと口を塞いでいたガムテープを剥がしていった。
それは、本当に私のことを傷つけることは、
ほんの少しも無いという態度を証明しているかのように思えた。
「どうしても、聴きたかったんです。先生の音色」
「ピアノなら」
私が言葉を続けようとしたとき、
彼の指は私のブラウスのボタンをひとつずつ外していき、
隠された肌を露わにした。

「やだ、こんな・・・」
私は、何をされるか、そのほとんどを理解していたというのに、
ヒステリックに叫ぶことをせず、
彼の眼をじっと見ていた。
彼がどのように、どんな行為をするのかを、
講師ではなくひとりの女として、
確かめたかったからかもしれない。

彼は、シフォン地の薄い花びらのようなベージュ色のスカートをめくり、
細いショーツのクロッチの部分を横に押しのけて、
ひとさし指で、熱い部分を掬った。
その指がしっとりと濡れていることも、
私の目に明らかだった。
透明な粘液が、夜の蛍光灯を弾いて、きらりと光っていた。
私に見せつける様に、その指を私の唇近くまで運んでから、
彼自身がぺろりと舐めた。
「先生、どうして、もう、こんなに」

羞恥に顔をそむけた。
彼は、私の唇をそうしたときのように、
手首のテープをきれいに剥いでいった。
大切なものを守るように、葡萄の皮を剥く様に、
決して私を傷つけない入念さで。

「ほら、先生。自分でここに触ってみて」

両脚を大きく開かれたままの私は、
顔を背けて小刻みに首を振りました。

「帰れなくなるよ・・・早く」
彼は、私の顎をそっと持ちあげ、
その眼で私の惑う目の奥を見つめました。

彼は、私にそれ以上触れようとしませんでした。
先程まで、私の座っていたピアノの椅子に掛け、
両脚を開いて動けずにいる私をじっと見おろしていました。

「早く」
声が先ほどよりもフォルテ懸ります。
私は、仕方なく、自分の指をそこに這わせました。
そこは、
自分でも驚くほどに潤っていて、
いつ、こんなふうになったのか、不思議に思うほどでした。
指で触れれば、触れるほど、
次から、次から、
枯れない泉のように、
ぬちゃぬちゃ、ぴちゃぴちゃと、
私を濡らしていきました。

「あっ」
ぷるんと尖った先端に触れ、
思いもよらない、ものすごい快感が私を捕えました。
その尖りは、捏ねれば捏ねるほど、
もっともっとと、快感を求めるのでした。

「良いよ。そう」
彼はじっとこちらを見ていました。

Re、Re、Re、Re、Re・・・
先程まで鍵盤を弾いていた私の指先は、
Reを気に入って、そこを執拗に弾き続けています。
「あ。あぁ。あああぁ。」
甘い息が漏れます。
強制されて、そうしている筈なのに、
もう、身体がその刺激を自ら望んでいるのは明白でした。
Re、Mi、Re、Mi、Re、Mi、Re、Mi・・・
続くトリル。
クリ/トリスの鍵盤の上で。
左手は、膣口で、快感の伴奏を始めます。
フォルテ、フォルテ、フォルテ・・・

もっと、みだらな私を見てください。
もっと、執拗に、残酷にいたぶってください。
口には出さないものの、
瞳は物欲しげに彼を探していました。
縛られた脚が、ぎしぎしとしなりました。
私は明らかに彼を求めていました。

彼の瞳は熱にたぎる様子はなく、
むしろ冷やかに私を見つめていました。
リサイタルを冷静に評価する優れた審査員のように。
私はいつのまにか、この演奏が終わらないことを願っていました。















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