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逢瀬日記

ご主人様との出会いから今迄。 後天性被虐趣味なわたしの手記。

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囮捜査(2)

妄想4(の、つづき)

すっかり暗くなった通りをひとりで歩いているだけで、
自分が獲物として狙われているような気持ちにさせられます。
どこかで私のことを見ている男が居るんだろうか、
黒のパンストで締めつけられている脚を、
高いヒールで不安定に歩く姿を、
きゅっと盛り上がったヒップ、肉感的な腰の動き、
くびれたウエスト、その先の胸の揺れ、
それらを、今か今かと狙っている視線があるのだろうか、

人通りは途絶え、街頭も頼りなくうっすらと路を照らしています。
過緊張ともいえる状態で、歩いていましたが、
時間が経つにつれ、その状況にも少しずつ慣れ、
それらしい不審者もない様子に、
ほっとするような、囮の甲斐がないような、
もどかしい感じになりました。
さっさと帰って、彼氏のとこ行きたい。
雑念さえ浮かんでくるころ、
内線が入りました。
近くに配置されている同僚からです。

「後ろに、不審な男が居るから、
そのまま振り返らずに歩いて。
何も気付いてないみたいに。」

耳に神経を集中させ、不安に身を硬くしながら、
速度を変えないように、歩みを続けます。
いよいよ現れた・・・?
確かに、そう思えば、足音が私にぴたりと張り付いているような
気もして来ます。

「ちょっと周囲と距離をおいて、
ひと気のないところに進んで。
現行犯でとりたいから、
ちょっと際どいかも、だけど、
ちゃんとこちらから確認できているから。」

なんてことを言うんだ、と思います。
不審そうならそこで職質かけて、おとしてしまえばいい、
こんな囮はやく辞めたいよ。
でも、仕方ない、と言い聞かせ、
公園の先の奥まったところ、
フェンスで区切られた、
テニスコートへと続く細い路地に沿って、
木々の間を、落ち葉を踏みながら
細いヒールで歩きました。
公道からは、鬱蒼とした木々の茂みと、
その辺りの前に建っている、
すべりだいやシーソーなどの遊戯道具で、
私の姿は視認しづらい環境だったように思います。
こんな夜の深い時間、誰もいないところに、
こんな挑発的な格好で、
変質者を待ちうけている私・・・。
望んでしていることではないのに、
仕事なのに、
それをわかっていても、
変な想像をして、興奮してしまう・・・。












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